キッシング・グラーミィと呼ばれる熱帯魚がいます。色は薄くピンクがかった白色と肌色の中間ぐらい。体長は大きくなると20cm以上にもなる割と大きい魚です。水槽の中を泳ぎまわるその姿は雄大ながら、水底や石についたコケを食べるなどします。そして注目すべきはその行動。2匹で正面向かい合ったかと思うと、ひたすらキスをしあうのです。ピンクがかった白色の大きな体で口をぱくぱくさせながら、時には激しくついばむようなそのキスに、なんてロマンチックな奴らなんだ…と思わず羨んでしまいたくなるのですが。実はこれ、縄張り争いのための力比べ。その可愛くも堂々とした外見やしぐさ裏腹、押し合い圧し合い大合戦。やれ我の領地はここぞとばかりに激しくぶつかりあっているのです。そんな夢の無い…。その体の色と行動は偽り？なんとなく純粋な心を裏切られた気持ちになりながら、変わらずキスをする彼らを眺め見るのでした。